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在宅生活の限界点を上げるということ

弊社は経営理念をもとに基本方針を下記のように掲げています。
「超高齢社会の困りごとを解決し続ける企業として、在宅生活の限界点を上げ、地域への幸せ面積を拡大する。」
この中の『在宅生活の限界点を上げ』という言葉は今期から追加されました。

ちょっと堅い話になってしまいますが、なぜ『在宅生活の限界点を上げ』という言葉を追加したかお話ししたいと思います。

我が国では、厚労省の地域医療構想の中で、2015年時点で135万あった病床数を、2025年に向けて115万から119万程度まで削減するとしています。
約20万床の削減の受入れ先はどこでしょうか?
そうです。在宅です。住み慣れた自分の家です。
つまりは訪問看護などの在宅サービスへの期待が強まるということです。

では、特養などの施設はどうなのでしょう。
特養等の整備計画に対する実績では、2015~17年の特養整備計画で全国では6万床の計画に対して約7割の4万5千床に留まり3割は未整備です。
東京都でも7200床を計画していたが、新設できたのは4400床。6割しか整備できていません。
特養に入居を希望しても必ずしも全員が入居できるという現状ではないということです。
各都道府県による補助金が用意されても、一定の広さの土地の取得の難しさや、働き手の確保も容易ではないことも要因としてはあるでしょう。

つまり、全ての要介護高齢者を受け入れるほどのキャパシティを期待して、特養等の施設に依存することはとても難しいという現状があるわけです。
今後、高齢化率が上昇する我が国では、より一層難しくなってきます。
一方で大多数の高齢者は、叶う事ならば施設に入ることなく、入院することなく、自分の自宅で最期まで暮らし続けたいと願っているとのデータも出ております。

このような業界の現況と将来動向を受けて、社会保障の財政面なども踏まえると、我が国では今まで以上に要介護になっても、施設に強力依存するのではなく、在宅で暮らし続けるための施策や方針が強まり、私たちのような在宅医療介護事業者の役割や期待は高まることになります。
そう考えると、今後はさらに退院患者の受け入れ体勢の強化に加えて、いかに入院させないか、いかに施設入所させないかに力点を置く事が求められます。
顧客である要介護者、利用者本人のニーズも踏まえると尚更に、入院患者、入所者ではなく、生活者として暮らしを継続することができる。
施設、在宅、消去法ではなく、自分で選べることができる社会を目指していきたいと考えるわけです。

今までの考え方や価値観、スキルや知識だけを頼りにしすぎると、「これ以上は在宅では無理だよね〜」とか「この状況は施設入所しかないよ〜」とかに行きついてしまうかもしれません。
そこで、今一度踏ん張って、「今まではそうだったけど、本当にやれることやりきったかな?」という思考にすることの積み重ねが在宅生活、暮らしの継続に繋がってくるのだと思います。

このような意味合いから、『在宅生活の限界点を上げ』という言葉が弊社の基本方針に追加されたというわけです。

長々と固いお話にお付き合い下さりありがとうございました。
これからも、超高齢社会の困りごとを解決し続ける企業として、在宅生活の限界点を上げ、地域の幸せ面積拡大を目指して社員一同で頑張りたいと思います。

株式会社 ボンズシップ | 2020.11.20 11:36